はじめに

今、世界中が新型コロナウィルスに破壊され、第三次世界大戦とも言われている。日本も外出自粛が要請され、大変な状況になっています。皆様にはこの危機をチャンスに切り替え、危機後には、危機前よりはるかに快適な社会と生活になることを願っています。

 

本記述を思い立ったのは、6か月前です。その理由は、日本のバブル崩壊後、失われた20年と言われたのが、今や30年近くになります。

日本は工業化社会の終末、1990年前後に世界一の豊かな国にまで上り詰めました。アメリカからは日本の脅威に対して、ジャパン・バッシングが行われました。その当時に私たち家族はニューヨークに住んでいて、アメリカ独立記念日の花火大会などには出席するなと、日本大使館からの要請がありました。その当時の日本は現在、アメリカの中国に対しての見方や規制と同様であったと思います。

 

ところが、突然に日本のバブル崩壊が起き、日本経済が一瞬にして破壊しました。

 

一方、アメリカは1995年くらいから急速に情報化社会に遷移し、情報化社会のスタートアップ会社が急成長してアメリカ経済の屋台骨になりました。GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)5社の時価総額が東証一部全体を上回るまでに成長しています。
残念ながら、日本は工業化社会から脱皮出来きなく、工業化社会で隆盛を極めた大企業が日本経済の中心であるようです。そのような大企業が世界競争に勝てなくなってくると、政府は救済や支援に国民の税金を惜しみもなく使ってきました。残念ながら国民の血税は無駄になったと観測できます。

 

私の自己紹介をしますのでご辛抱ください。私はまずNECに入社しました。入社した理由はコンピューターの開発に携わりたかったためです。それ以来、50年間以上もコンピューター関連の開発を行ってきています。特許も日米で50件ほど取得しました。

 

NEC本社ではCPU(コンピューターの中核)の開発やインターネット製品の開発、開発をしながら販売活動を行いました。1987年からNECアメリカに出向して、インターネット事業部を立ち上げました。

その当時、シスコ社や3COM社がぐんぐん伸びていました。あれよあれよという間に300億円、500億円を売り上げる会社に急成長しました。一方、私の事業部は50億円どまりで伸びなかったので不思議に思い、成長しているシリコンバレーの会社を調査してみました。そうするとストックオプション制度があり、会社が成功すると社員が億万長者になれる仕組みがあることが分かりました。給料が一番低い秘書でさえ、会社成功の折には、ストックオプションで5千万円以上の収入が入る仕掛けです。

その他にも“会社競争とは人事の競争”が根底にある制度や待遇が沢山あることがわかりました。

 

優秀な人材が採用出来て、その優秀な社員が趣味のごとく、目の色を変えて会社成功に熱中する仕組みです。そのために世界中から一獲千金を狙って、優秀な人が集まってもきました、今でも集まってきています。みんな、どの会社がどのような制度と待遇があり、どのような製品を開発し、その会社は成功しそうかどうかを常日頃話し合っています。
すでに成功した会社ではなく、これから成功しそうな会社に入社したくて、自分のキャリア・ステップをプランし、実行しています。(すでに成功した会社のストックオプションのリターンは少ないので、創業間もないスタートアップ会社に入社したいと思っています。)

シリコンバレーに限らず、アメリカでは日本のように新卒採用がほとんどありません。ほとんどが中途採用で、入社した1週間目から給与に見合う仕事が出来ることが入社の条件です。

 

私もシリコンバレーの地でNECを退職して、ホロンテック社という会社を創業しました。ホロンテック社では世界初のロードバランサー製品を開発し、世界中に販売しました。今やインターネット通信には欠かせない機器の一つです。2002年に起きたITバブル崩壊で、ある大会社にM&Aをし、EXITしました。

 

ホロンテック社後はオーラライン社のCEOを1年ちょっと行いました。

オーララインの会社経営をしているときにデータベース・セキュリティ製品のアイデアが浮かび、アイピーロックス株式会社を創業しました。アイピーロックス社でもエンジェルやベンチャーキャピタリスト(VC)から資金を提供してもらい、全世界で販売するまでに成長しました。最終的にはセキュリティの大手会社にM&Aして、EXITしました。

 

ホロンテック社も、アイピーロックス社も、本社はシリコンバレーの中心地、サンホゼに設け、販売拠点は全米数か所、東京、香港、シンガポール、ロンドンなどに設けて、世界販売を行いました。

 

2017年からは日本に帰国して、NewGras(ニューグラス株式会社、www.newgras.com)を立ち上げようと頑張っています。私のビジネス人生はネバーエンディングです。

 

 

冒頭にも書きましたように、工業化社会の実績を見れば一目瞭然で、日本人は世界トップに位置する優秀な国民です。それは世界中から優秀な人たちが集まるシリコンバレーでの日本人に対する評価でもあります。

現在のように30年間も停滞し、デフレ現象さえ起こしているのは、工業化社会で成功体験をしたシニアが日本社会を牛耳っているからだと観測しています。

繰り返しになりますが優秀な日本国民は、明治維新や世界第二次大戦後、世界で類を見ない発展を遂げました。ハーバード大学のスティーブン・キラー教授の予測ではコロナウィルスは2022年まで、もしくは2024年までには終息するとのこと、長期間の戦いになると予想されています。コロナウィルスとの戦いの中で、変化が出来ない企業は生き残れないと思います。もちろん、企業を構成するのは社員です。変われない社員は新しい社会で底辺に落ちると考えなければなりません。

工業化社会の体質から情報化社会に脱皮し、新しい日本で素晴らしい発展があることを期待しています。

私は 今の間に情報化社会の経営を学び、日本の文化に適した経営方式の実施をトライ&エラーで始めれば、情報化社会で世界のリーダーになれると確信しています。

他の日本人と比較して、私のユニークな点は30年間 情報化社会で最も進んでいるシリコンバレーで、シリコンバレーのみならず世界各国の企業と戦い、経営をしてきたことです。少なくてもシリアル・オントレプレナー(連続的創業者)として生き延びてきました。日本が世界のトップになるために、これらの観点から、シリコンバレー流の経営ルールの50~100項目を紹介したいと考え、執筆を始めました。章ごとにオンライン発行する予定です。少しでも皆さんの参考になれば、この上ない喜びです。

 

今 考えている話の順番は下記です。

第1章 企業文化

第2章 製品

第3章 マーケティング

第4章 トップの役割

第5章 セールス

第1章 企業文化

実は、去年に参加したスポーツ・イベントで若くて、容姿端麗な女性とたまたま知り合いになりました。その女性はスポーツ・インストラクターが職業と話していたが、詳しくは分かりません。その後、何度かメイルをしていて、聡明な人であることが分かりました。その方にシリコンバレー流の経営を学んでみませんかと聞いたところ、今後の人生のためにどういう経営か知りたいとの返事をもらいました。

私はその人の経歴や家族構成など何も知りません。シリコンバレーでは性別、年齢、学歴、その他私的状況など、これからの仕事の能力に関係ないので聞かない習慣です。その方も私を、人畜無害のユニークな経験を持つシニアくらいにしか見ていないだろうし、お互いに私的な話は全くしないEmailフレンドです。

その女性との座談会形式で文章を書くことにしました。まず女性の言葉から始めます。

 

 

<女性> 今皆さんは何の為に働いていますか?

 お金の為。

 家族の為。

 自分の為。

仕事を楽しいと思いますか?

 お金の為だから楽しいとか考えたことがない。

 仕事だから楽しいとか楽しくないとかで はない。

 嫌だけど、やりたくないけど仕方なく。仕事に我慢は付き物。

 

私は『好き』を仕事にしている。

1日の、そして人生の大半の時間を占める働く時間。この時間が自分にとって苦痛な時間や我慢の時間になるのは、人生を損している気がしたし、頑張れない気がしたから。どうせ働くのであれば、楽しんで仕事をしたい。どんな仕事でも大変なことはもちろんある。それは『好き』を仕事にしても、時にはやりたくないことや大変なこともある。ただ、それを苦痛と思うことは少ないし、それを乗り越えた先にはまた『好き』が待っているから頑張れる。

実際、私は自分の『好き』を仕事にして、楽しんで働いている。自分の好きなことで、人と接すること・誰かの為になること、全てを満たす今の仕事は天職とさえ思っている。

何の為に仕事をしていますか?

自分の為。充実した人生を生きる為。

仕事を楽しいと思いますか?

もちろん楽しい。

こう答えられることに幸せを感じていた。

 

 

そんな時に、今回の新型コロナウイルスの問題に直面した。

接客業である私の勤務先は、すぐに休業の対応が取られ1ヶ月以上の休職となってしまった。仕事が出来ない状況になり、初めて今の働き方ではこれから先の時代に乗り遅れるのではないかと感じた。今後、新型コロナウイルスが終息したところですぐに元に戻る保証もなければ、同じような事態が起こる可能性もある。このまま状況が収まるのをただ待つより、何か考え動かなくてはと思った。しかし、ただただ『好き』を仕事にしてきた私は何をしたらいいのかがわからなかった。わかっていることは1つ。働き方の転機にあるということだ。

そもそも、働くとは何か。今後こういった状況で生き残る為に必要なものは何かを考えていた。そしてこんな状況でも、自分の根本にある『好き』『仕事も楽しむ』も捨てられないポイントであった。

 

 

仕事について、働き方について、今後の日本や世界の動向について漠然と考えだした時、坂本さんと出会った。

坂本さんは、NECアメリカのジェネラルマネージャーを経て、シリコンバレーで30年間の経営をしてきた方だった。シリコンバレーで培った経営学をわかりやすく話してくれた。坂本さんと話す中で、経営学だけでなく、今後の働き方や仕事への考え方を改めて見つめ直すきっかけをもらえた。そして何より、成功者の考えを聞けるこの貴重な体験を忘れないように、1項目ずつまとめていきたい。

経営に興味のある方や、今後の海外進出を考える方だけでなく、私のように経営の経験も知識もない方、働き方の転機を迎えている方にも読んでほしいと願い、書き始めようと思う。

まずは、コア・コンピテンシーを知ること。

知識にない私は初めて聴く言葉だった。

 

第1節: コア・コンピテンシー

もともとの意味するところは、『組織の核となる技術や特色』を示した用語で、企業や組織を経営していくにあたり必ず押さえておくべき知識として、ビジネス界では頻繁に用いられる考え方。わかりやすく言うと、会社または個人の持つ一番の強み。

 

<坂本> シリコンバレーではベンチャーキャピタリスト(VC)によくサステーナブル・コアコンピテンシー(Sustainable core-competency)は何かと聞かれます。いわゆる一時的な強みでなく、持続可能な自社・自分の強みは何か。日本でよく言われる“継続は力なり”ですが、あなたにとってそれは何でしょうかに似ています。

毎日毎日、創意工夫をしながら自社・自分のコア・コンピテンシーを強くしていくことで他社・他人に負けない“力”になると思われます。

それは、まず自分が好きなことで、継続して創意工夫することがエキサイティングであって欲しいですね。エキサイティングな創意工夫とは自分で新しいことと思われることを創意工夫して、10の新しいトライ&エラーから、一つの前進が見え、それに心躍ることです。それが、更なる創意工夫のエネルギーがみなぎるのが私の経験です。

その心躍るエネルギーはいつも頭の根底にあり、夜中にも目が覚めて、新しいことを思いつく、それを実施したいために朝が来るのが待ちきれないと、ホロンテック社財務担当部長は私によく言っていました。今でも私も彼と同様の日が多くあります。

会社の仕事はチーム・プレイですが、チームの一人一人がエキサイティングな創意工夫の連続になり、チーム全員のベクトルの総和を最大限に出来れば、会社の成功の確率をかなり上げることが出来ると考えられます。会社が良くなれば、社員も高収入になり、充実感が増し、更にエネルギーが沸く。会社全体としてもパッションで一杯になることを経験しています。社員全員が自分のコア・コンピテンシーを知り、会社はそのコア・コンピテンシーを活用した経営をする。これはシリコンバレー経営の基本の一つです。

日本はバブルがはじけて、失われた20年と言われていたのが、それを過ぎて過去30年近く停滞しているようですね?

一方、その間にアメリカ、特にシリコンバレーは大きく世界を変えてきています。アップル・コンピュータ、グーグル、フェースブック、アマゾン、ウーバー、上げればきりがありません。雨後の竹の子の芽のように、次から次へと新しい企業が創業され、世界を席巻しています。一般的に社会は情報化社会になったが、日本はいまだに工業化社会から脱皮できていないためだと言われています。

それでは日本もシリコンバレー流の経営に転換すべきでしょうか?

よく日本人は農耕民族で、西洋人は狩猟民族と言われています。シリコンバレーの経営は狩猟民族の経営かも知れません。

日本は1990年くらいまでアメリカに追いつく、追い抜く勢いでありました。そのことを考えても日本人の優秀さは世界の一流であることは間違いないと思っています。

それならばなぜ過去30年もの間、停滞が続き、その間に隣国の韓国や中国が躍進しているのでしょうか? 繊維、鉄鋼、造船、家電、コンピューター(特にパソコン)、スマートホーン(スマホ)、などなど日本のお家芸と思われた分野のマーケットは韓国・中国に取られてしまいました。今や韓国と中国は1990年までの日本のようです。それは時代の進化で通るべき道なのかも知れませんね?

問題は、この過去30年間で日本国民の生活レベルは良くなるどころか停滞、もしくは悪くなってきているように観察できますが、本当でしょうか? 

特に若い人たちは将来への不安でいっぱいのようにメディアは書いています。大学を卒業すると同時に老後資金の貯金を始めるという話も聞きました。学校を卒業して、社会に飛び立つ若者は希望一杯が普通のはずで、その若者が老後のことなど考えるのはあまりにも変な社会だと私は思いました。私があまりにもノホホーンと過ごしてきたのかもしれません。

1990年前後までは日本人のほとんどが将来への夢で一杯であったように思います。将来への不安など全くなく、将来はもっと良くなると思っていました。それが過去30年間でこれほどまでに変化してしまったことは、何かがおかしいと思わざるを得ません。私の観察が間違いであれば良いのですが、、、

私の観察がほぼ正しいとすれば、少なくとも将来が不安で一杯の日本から、将来は夢で一杯の日本に復帰させませんか! エネルギーがみなぎる皆様が立ち上がることが大事で思います。

それには成功を続けているシリコンバレー流の経営とはどんなものかを学んではいかがでしょうか? その上で、日本の文化にあった経営の仕方を考え出していくのが早道ではないかと考えます。いわゆる日本人の個人個人がそのように考え、行動することであり、政府や会社に期待することではないと思います。。明治維新後や第二次世界大戦後に昔の日本人が実行したように。

“将来は過去の連続ではない、今日から変われる”

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」 岩崎日出俊氏著

日本人の特徴である集団主義で、個人が責任感の強いところは日本民族のコア・コンピテンシーと感がられます。その上にシリコンバレー流の経営を乗せれば、これから10年間で世界の一流国への復帰が実現でき、若い皆さんは朝起きるのが待ちきれないほど楽しい毎日になり、将来は夢で一杯になるのではないかと想像します。

 

 

 

<女性> これは経営に関わらず、全ての人に当てはまる。

自分の強みを知ること。私も今の会社に就職して、一番に考えたことだった。

専門的な職種の為、経歴はもちろん、経験も知識も比べ物にならない人たちばかりだった。ここで、人を妬み、諦めることは簡単だったと思う。しかし、私は周りに負けない自分の魅力や強みを考えた。その強みを見つけ、磨くことで様々な困難をのりこえることができてきた。それが自分の自信にもなり、ぶれることなく進んできた。

今でもここはターニングポイントだったと思う。人生において、大小さまざまなターニングポイントがある。そのターニングポイントをどう進むかで、その後が大きく変わる。そして迷った時、困った時、立ち止まった時にこのターニングポイントをどう進んだが大きく影響してくる。

それが会社経営となればより大きな影響を与えるものになる。

 

 

まずは『コンピテンシー』を知ろう。

<女性> 難しい経営学や理論の話の中で、素人の知識のない私でもわかりやすく、すぐさま納得したのは『カッコいい』の話。

 

第2節: カッコいい (It’s cool !)
<坂本> カッコいい製品、カッコいいサービス、洗練されたカッコ良さをトコトン追求したいですね。
素敵。自分もそうなりたい。品位の高いカッコよさの追求です。

私が若いころ、スキーが盛んだった。蔵王山にスキーに数人で行きました。その時に友人が連れてきたスキーの上手な人がいました。そして、その人がスキー場でコカ・コーラを美味しく飲んでいました。その人のコーラを飲んでいる姿がカッコよく、私は真似してコーラを飲むようになりました。

 

10年前くらいにスターバックス・コーヒーがシリコンバレーにも登場しました。アメリカ中、コーヒーショップはどこにでもあり、アメリカ人は家庭でも日本人が緑茶を飲むような感覚でコーヒーを毎日何倍か飲んでいました。いわゆるコーヒーは寡占状態で新しいコーヒーショップ・チェーン店など誰も考えもしませんでした。

しかしながら、スターバックスはスターバックスのコーヒーカップを持って、コーヒーを飲むことがカッコいい、時代の先端を行っているというパーセプション(認識、見方、パラダイム・シフト)を作り出しました。

アップル社のMacを持ち、スターバックスのテーブルで仕事をすることが時代の先端を行く若者であり、皆んなのあこがれみたいな社会風潮を作り出しました。日本だけでなく、世界中の人たちがカッコいい、自分もそうなりたいという風潮や文化は、これまでアメリカ人が作ってきていると観察しています。

 

テレビも、冷蔵庫も洗濯機も、マイカーも、まずはアメリカ人が作り出し、それらを持つことが世界の人たちのあこがれになり、それらを世界中に流行らせました。便利なことは確かですが、流行った理由はそればかりではなく、それらを持つことがカッコよく、自己満足に浸れるからであると観察しています。昔、浅丘ルリ子さんが赤いアメ車のオープンカーに乗っている写真は本当にカッコよかった!

食べ物だって、マクドナルドのマックを食べることが時代の最先端でカッコ良かった。もちろん、現在ではマックを食べることはカッコ良いことで食べるわけではないですが、販売当初はカッコいい文化を創り出すことで流行させたと思っています。ジーンズだって、そうでした。共産時代のソ連の若者だって高いお金を出して、ジーンズを買っていたと聞きます。

パソコンでも、アップルのMacや、マイクロソフト社のサーフィスはカッコ良い。なにか洗練されていると感じます。ソニーのMP3が、アップルのiPodに負けたのはカッコよさで負けたと思っています。現在ではエアPodsを耳に着けている若者がカッコいいと私でさえ、思います。
テスラモーターズの電気自動車を購入して、運転することが時代の最先端でカッコイイ。だからテスラが一気に伸びていると感じます。お金持ちの多いシリコンバレーではテスラを乗っている人たちが非常に多くなっています。

 

残念ながら、世界中の人たちに、カッコいいデザインやカッコよく見せられるマーケティングは日本人はしてきておりません。上記のように歴史を観察するとそれが良く分かると思います。
個の能力ではない、国のステータスがアメリカ人のすることがカッコ良いと思わせているのではないでしょうか? これからのアメリカには疑問があります。トランプ大統領がアメリカの品位を下げに下げたと思っています。

日本人は機能が良ければ、品質が良ければ、今までの食べ物よりおいしければという改良・改善を行うDNAと思っています。日本人は世界の人がカッコいいと思う新製品やその紹介を経験してきておりません。経験していないということは、その能力が育ってきていないという気がします。

日本の素晴らしい匠や老舗、新規製品を世界に広めるために、アメリカ人を利用して、カッコいいと思わせる紹介をしてはいかがでしょうか? それが経営のグローバリゼーションの一つと考えます。

いわゆる世界の国や国民の得意な部分を最大限に活用して、日本のコア・コンピテンシーから作られた商品の世界展開をすることがグローバリゼーション経営と考えます。
 

勿論、皆さん自身が製品やサービスを売る、サービスを実施する場合にも、カッコよく見せる創意工夫をすることは非常に重要で、日々考えてトライ&エラーを繰り返してほしいと思います。経験することで能力は育つと考えます。

 

 

 

<女性> たしかに私たちは、『カッコいい』を基準に生きている。実際、私は物を買う時に性能・値段・デザインを比べている。昨今では、どのメーカーも性能に大差がなくなってきているので、最終的には色やデザインのカッコよさを重視している時が多々ある。そして確かにそれは日本のものではない。

『世界の人がカッコいいと思う文化は日本人には作れない』ということを認めることが必要なのだ。漫画やアニメ、コスプレ、かわいいという文化のように日本のものを良いとされるところももちろんある。しかし、そこに無理にこだわるのではなく、適材適所。向き不向き。これを理解し認めることが、自分の得意な分野に時間を費やし、全力で戦う為に大切な1歩なのだと思う。

まさにこれを体現しているのがキングコングの梶原雄太さんだと思う。梶原さんは養成所在学時に漫才コンテストの最優秀賞を受賞し、デビュー時から人気を博していたが、人気レギュラー番組が終了すると次第にテレビから姿を消していた。バラエティーのひな壇というポジションには向いていなかったのだ。しかし彼は、YouTubeの世界に身を置き、今やキングコングの梶原雄太より、YouTuberのカジサックとしての認知度が高くなっていると言っても過言ではない。向き不向きを見極めて、自分にあった環境を見つけたのであろうことが想像できる。

成功している人のほとんどが、この適材適所・向き不向きがわかっているのかもしれない。苦手なことは周りの信頼している人に任せて、自分は得意分野に専念する。そうすることで、それぞれのクオリティーを高めることができ、より良いものが生まれる。仕事のできる人ほど、人に任せること・頼ることが上手だ。

 

世界的なカッコいいは日本人には作れない。まず認める。

適材適所を見極めて、頑張る方向性を間違えない。

第3節: 直感 (インチュエーション = Intuition)
<坂本>私の場合のみならず、シリコンバレーのCEOは決定を自分の直感で行います。

未来に向かってのことで、ロジカル(論理的)な決定などないと思っています。ロジカルとは、物理のように一つ一つの理由や事象を積み上げて、だから結論はこうだと云う手法ですよね。ロジカルなことはAIやロボットで置き換えることが出来る時代がすぐそこまで来ています。AIに負けない人間の能力は直感です。直感の能力を高めるには毎日毎日、直感を研ぎ澄ます真剣勝負をし続けること以外に方法はないと思っています。いわゆる人間の能力はコンピューターがいくら高性能になってきても、その上を行くと考えています。ただし、訓練し続けていればの話です。

製品も人間の直感で使える製品でなければ流行らない時代に入りました。取扱説明書を読まないと使えない製品は時代遅れになってきています。

これからは直感の時代。例えば、日本の大会社の学歴最重視の人事評価には直感がまるでないと考えます。会社の成否は人と言われています。
あなたはどこの大学を卒業したのか、年齢はいくつか、どのような経歴か、性別などを最重要視し、人の能力を判断するようでは、AIには勝てないと考えられます。過去のデータだけに頼る決定や未来予測はAIの方がはるかに優秀になっています。話をして、その人がどのような能力の持ち主か、採用の場合には、これからの仕事に有能かどうかの判断をすることが直感の能力ですよね?


前述したカッコ良いかどうかも直感です。最初に会った人が好きになれるかどうかも直感です。

第一印象も直感です。第一印象がまあまあならば、付き合っていて好きになり結婚ということにも発展します。しかしながら、第一印象が良くない人は付き合っていて、そのうち好きになっても長い間はうまくいかないのではないかと思います。

それをシリコンバレーではケミストリーが合うとか、合わないとか言います。いわゆる化学反応するかどうかを人と人が合うか、チームの適した人かどうかをケミストリーが合うとか、合わないとか言います。ケミストリーが合わない職場ならさっさと辞めて、別の会社を探すのがシリコンバレーでは普通です。石の上にも3年とかの我慢の文化でなく、快適さを求める文化です。


商品は(製品もサービスも)直感でカッコよく、素敵で、洗練されていて魅力的でなければならないと思っています。直感でカッコいい名前でなければなりません。理由を説明して、カッコ良いではだめだと思っています。

会議ではいつも未来のことを決めます。これは直感に頼る以外の方法はないと思います。スピードが重要な現代では、決定に一日が最大です。シリコンバレーでは、一般的にはその場で決めて、前に進めます。議論など重ねるより、決めて前に進めて実行して、評価をした方が良いからです。議論しても迷うだけで最後は直感に頼らざるを得ないのが私の経験でもあります。先ほどの第一印象と同じで直感の方が良かったケースを多く経験しています。もちろん、直感を研ぎ澄ましていればの話です。従来の規則・規定に従って業務追行してきた人には業務に関する直感能力が育ちません。常に現在と未来に取って良いと思われる決定は規則・規定に従うことではないと思います。

アメリカではマンディー・クオーターバック(クオーターバックはバレーボールのセッターみたいな役割)という言葉があります。月曜日の朝に、日曜日のアメリカン・フットボールの解説をして、あれは間違いで、こうすべきだなどの解説者です。後からは何とでも言えます。そのような人は評価されません。彼はマンディー・クオーターバックだと言われることは恥の世界です。もちろん、解説者の話を聞いて、次のデシジョンの勉強をする点からは他人の意見を聞くことも重要です。

判断や決断は真っ暗闇の未来の世界に向かって、今すぐに直感で判断して、前に進めなければ勝負に負けてしまいます。アメリカン・フットボールばかりではなく、現在ではビジネスもそういう時代です。


直感は従来の先入観を捨てて、判断して、前に進めて実行し、実行結果を評価し、フィードバックしての繰り返しで訓練する以外に育たないと考えられます。これを誰よりも早いフィードバック・ループを実行することで、誰にも負けない直感が育つと考えられます。

 

 

 

 

<女性> これは話にも出てきた通り、人間関係や恋愛にも通じる話なので、かなり多くの人が共感でるのではないだろうか。

私はこの直感で大抵のことを決めている。最近引っ越しをしたのだが、家を決めるときもそうだった。希望の条件は家賃や2階以上・バストイレ別と、もちろん色々とあったが、物件の中から最終的にこれだと決めたのは、まさに直感だった。

プライベートな自分のことだったら直感で決められる。しかし、仕事でもこれが出来ているか出来ていないかはわからない。仕事でも人よりも研ぎ澄まされた直観力を身につけるには、『直感は従来の先入観を捨てて判断して、前に進めて実行し、実行結果を評価し、フィードバックしての繰り返しで訓練する以外に育たない。』

これを私なりに解釈すると、積極性+行動力+継続力=直感力。

まずは目の前のことを全力で取り組み、積極的にたくさんの経験を積むこと。直感の土台は、それまでの努力で得た経験の積み重ねなのだ。

 

 

直感力を育てよう。

第4節: 情熱 (パッション=Passion)

<坂本>会社が熱気であふれているか? 国も革命直後は一番情熱がある。成長する会社には情熱があり、情熱のある会社は急成長している。それは多くの会社を訪問し、感じていることです。一般的に訪問先の会社の受付を通ると、情熱があるかどうかはすぐにわかります。

NECを退職して、シリコンバレーで最初に私が創業した会社がホロンテック社とう会社です。会社立上げのときに米国のYahooを立ち上げたフィリップ・モネゴ氏に社外取締役兼エグゼクティブ・アドバイザーとして、支援を受けました。何しろ、私にとって会社創業は初めてでしたので、右も左もわからない状況でした。

そのフィリップが一日だけある女性を連れてきました。彼女はその当時、世界中で急成長していたSGI(シリコン・グラフィック)社の人事担当の副社長でした。蛇足になまりますが、SGIが閉鎖した後、その土地と場所を買ったのがGoogleでGoogle本社は元SGIの場所にある。アメリカの場合、時代にマッチする会社だと猛スピードで急成長するが、パラダイム・シフトを起こす新しい会社が出て来ると、一気に閉鎖(チャプター7または11)に追い込まれます。

私が彼女に会社成功の一番の鍵は何かと聞きました。彼女は迷わず、社内に情熱を作り出すことだと返答しました。

私は情熱を創り出すためにいくつかのことを実施しました。その一つを紹介します。

ニューヨークの親友“ケビン・マン”が送ってきてくれたビデオ・映画“Dear to be different”(勇気を持って、他人と違うことをしなさい!)をたまたま観ました。その映画はアメリカ東部の法学(Law School)名門校の出来事でした。イギリスをまねて法学などの名門校は厳しい寄宿舎生活です。その学生達にある先生が規制でこり固まった生徒たちの殻を破るために、机の上に立って、景色を見ろと促すシーンです。厳しいしつけに慣れ切った生徒たちの一人が恐る恐る机の上に立ちました。そしてその生徒が“ウォー“と叫びました。その後、次々に生徒たちが机の上に全員が立ち、“ウォー”と熱気を帯びたうなり声で終わる映画でした。その先生は優秀なだけでは駄目で、他人と違うことを勇気をもってすると今までとは違う景色が見える、それが心躍る情熱を創り出せることを教えたかった英語だと思いました。

私はこれだと思いました。

 

毎週金曜日の夕方にウィークリー・ミーティングを開きました。その席上、順番に一人ずつ、ミーティング・テーブルの上・中央に立ってもらって、何でもいいから好きなことを話してもらいました。

ロシアからの移民のナターシャはロシア人のアイス・スケーターみたいに色が白くて、小さくて可愛い娘でした。彼女が身ごもった話をしてくれました。こんな奇跡のような、すごいことが起きたとの説明でした。会議室中(=会社中で30人くらいだったので)、みんな興奮に包まれ、ハグと握手、拍手で熱気一杯になりました。

その後のウィークリー・ミーティングはいつも同様な会社全体の連帯感と情熱を創り出してくれました。

 

その当時、ハードウェア開発の副社長は、10年後でも私に合うと、ホロンテック社時代は非常に情熱があって、会社に行くのが楽しかった。どのようにしたら、あのような情熱が作れるのかと聞いてきます。

一般的に情熱を創り出すのはリーダーシップだと思っています。小さなチームでも、そのリーダーが情熱を持って、チームメンバーと仕事をしていれば、そのチームに情熱が生まれると思います。 チームメンバーの一人だけが情熱を持っていても、チーム全体に情熱を持たせるのは難しいのではないでしょうか?

アメリカ人は大きな声でしゃべる人が多い。身体全体の動きが素早く、大きな声で“さあー、やろう!”とか、終わったら、大きな声でご苦労さんというだけでも情熱は生まれてくる経験をしました。

最近、流行りのアジャイル・ワークも、情熱を作るのに良いと思っています。 毎朝、チームメンバー全員が集まり、今日は ここまでやり遂げようとか、目標を決めて、終了時間一時間前に再度集まって、就業時間中に完了しそうかどうかを確認し合う。もし完了しそうにないタスクがあれば、助けられる人が助けて、就業時間に終わらせます。 アジャイル・ワーク(Agile work)と言い、この仕事方式を取り入れるのも情熱を生み出す方法と思っています。

いずれにしても、リーダーが情熱の重要さを理解し、リーダーシップを発揮することが大事です。 初めから出来なくても当たり前で、トライ&エラーの繰り返しで、だんだん会社やチームに情熱が生まれてきます。3か月間くらいの期間中に情熱が生まれてくれば、しめたものです。これは私の経験から言えることです。

 

 

 

<女性> 情熱を作り出すのはリーダーシップで、リーダーが情熱の大切さを理解し、リーダーシップをとる。では、リーダーが情熱の大切さを理解するには。それはきっと、体験と楽しむ心ではないかと思う。実際に情熱を持ったリーダーの近くで働いた経験や、情熱を持って行動したことによる成功体験など自分自身で感じること。まさに『百聞は一見に如かず』それを体験するには、前の話にも出てきた、ケミストリーや直感で選ぶ自分の身を置く環境が大切になってくる。

そして、何事も楽しむ心。私は困難なこと、嫌なことに直面した時は、ゲームと思うようにしている。ゲームのように、いかに敵を倒そうか、どう進めていこうかを考える。そう思うと、たとえ同じ困難なことに取り組むとしても、嫌だなとマイナスなイメージから、これをいかにクリアするか少し楽しもうとするプラスの気持ちになる。いかに楽しむかだ。何事も楽しんだもの勝ち。同じことをするのに、少しものの見方を変えるだけで、取り組む姿勢やモチベーションも変わってくるのでオススメだ。

私の趣味

<坂本> この辺でちょっと遊んで、私の趣味について話をします。趣味はアウトドア・スポーツです。子供の時には野球、バスケット、走り高跳び、ハンドボールなど好きでよくやりました。20歳くらいになると山登りやゴルフを始めました。ゴルフは今でもプレイしています。写真はシリコンバレーの西の山脈にあるサミットポイント・ゴルフ・コース。自宅から車で20分。 この時のスコアは84くらいでした。一応、公式ハンディキャップが7まで行きました。昔の話です。

20年くらい前に始めたのが、マウンテンバイク(MTB)です。今はロードバイクが中心になっています。

スポーツジムにはアメリカに行った直後から通っているので30年以上になります。トレッドミル(ランニング・マシン)で走る、マシンで筋肉を強化する、ヨガやボディパンプなどのクラスに出ていいます。

シリコンバレーは1970年代にシリコン(ケイ素)材が中心の半導体産業が世界を引っ張った。地形的には東と西に山脈があり、その東西間にあり、バレー(谷)なので、シリコンバレーと呼ばれるようになりました。バレーと言っても日本人が頭に描く峡谷ではありません。東西の山脈間は50kmくらいあり、そこは平地で、その地をシリコンバレーと呼びます。ただし、シリコンバレーという都市の名前はありません。あくまで通称です。

 

ニューヨークのマンハッタン島を除けば、アメリカはどこでも車がないと生活できません。酒酔い運転などで交通違反を起こしても、車の運転が出来なくなるわけではありません。車の運転は、生活の必需品です。

シリコンバレーのどこに住んでも、車で10分から20分くらい運転すれば山のふもとに到着します。したがって、マウンテンバイクやトレイルランニング(日本ではトレランというのかも)を趣味にしている人も多くいます。若い人はマウンテンビュウが多く、ロードバイクは50歳代以上がほとんどです。カッコウは若いが近くで見ると年寄りです。

 

これはシリコンバレーの東のサンタクルーズ山脈の麓、サラトガ市で撮ったロードバイクの写真です。土曜日か、日曜日に山を100kmくらいサイクリングしていました。(アメリカではバイクしていたとか、バイキングしていたとか言いいます。日本でバイクというと自動二輪車のことですが、アメリカでは自転車をバイク、自動二輪車をモーターサイクルとか、モーターバイクと言います。)

第2章 製品関連の話題

第2章は製品に関する話題にします。私が親しく付き合っているエバンジェリストの吉岡仁さんとの談話です。吉岡さんは20年ほどIT業界にいて、シリコンバレーを主として、IT関連の新製品を調査し、日本市場に紹介しています。

また、吉岡さんの調査結果、水面下の新製品やこれから爆発的に売れるだろうとIT関連の新製品を各種雑誌へ記事を執筆したり、これからのIT世界の変化を予測し、次世代のIT世界についても記事を継続的に投稿しています。

吉岡さんはイギリスのIT会社にも勤務し、ロンドンに数年住んでいた経験もあります。

第一節:10X製品(ten X product)

<吉岡>

ご紹介有難うございます。坂本さんの幅広いビジネス経験には到底及びません。

 

読者層の代表としてご指名頂き、光栄です。元々商社出身ですが、その後米英の外資系会社の営業、マーケティングそして技術開発の責任者を歴任。現在は日本のIT企業でエバンジェリスト(伝道者)として幅広く活動しています。

 

IT業界の過去をちょっと振り返ってみたいと思います。

坂本さんの方がご存知ですが、1980年代といえば、情報化社会の新しいパラダイムの時代でしたよね。要するに“ベンチャー”のイノベーション、今ではネットワーク機器世界最大手として有名なシスコシステムズは、スタンフォード大学のコンピュータ科学者が1984年に創業。その後、トニー・リー(Tony Li)という人物がシスコシステムズ初のIPルータの開発に貢献した。

ただ、彼は当時のCEOと意見が合わず、まだ当時新興ベンダーだったジュニパーネットワーク社(Juniper Networks)に入り、ここでもIPルータを開発。その後、シスコに次ぐ業界第2位のIPルータベンダーに育て上げた。

 

2009年、オラクルに買収されてしまったけど、サンマイクロシステムズもスタンフォード大学の学生だった創業者の1人、スコットマクレリーは、当時、“コンピュータのIBM”に打ち勝つためのエンジニアリングワークステーションを開発した。エンジニアリングワークステーション(EWS)パラダイムを創りあげた。

創業当時は、シリコバレーの小さなオフィスでスタートしていました。まさか世界のサンマイクロになるとは思ってもみませんでした(笑)。サンマイクロもCTC創業者の佐武廣夫氏が世界に先駆けて、いち早くみつけだし、育てたような会社だったですね。

 

この頃からシリコンバレーには多くのITベンチャーが集まり色々なコミュニティが生まれました。坂本さんもこの頃はシリコンバレーに移られたのでは。

 

大げさに云えば、いかにして新しいパラダイムを創造するか、パラダイム・シフトの時代とも呼ばれた。

 

勿論、彼らが成長した要因の1つにベンチャーキャピタル(VC)からの投資がありました。カリフォルニアのシリコンバレーに拠点を置くセコイヤキャピタルはその後も多くのベンチャー会社(スタートアップ)に投資。スタートアップから成長した有名ベンダーがその恩恵を受けました。新しい製品ビジネスの成功はこうした時代を先取りするイノベイティブ(革新的)なテクノロジーと市場を先見する創業者の知見がカギでした。

 

さて、市場を征するには10X製品が必要などという人がいます。ただ、個人的には10X製品が必ずしも世界市場を席捲するとは思いたくありませんが、坂本さんはどう思われますか?

 

<坂本>
スタートアップ会社を創業する場合には、従来の製品より10倍の性能とか、10分の1の価格の製品でないとベンチャーキャピタリスト(VC)は興味を持ってくれません。従来にない革新的な製品でない限り、改良製品なら10Xが必要だとVCから言われます。VCにとって10X以上でなければ資金の無駄使いとなるという考えです。それはシリコンバレーのVCは世界市場で勝つ製品でないと大きな市場で大きな売り上げを上げられないからです。

  1. から投資をしてもらうには、10X以外に、マーケット・サイズが1千億円市場に成長するとか、競合他社と勝負できる経営チームが揃っているとか、CEO兼社長がその能力を持っているようだとか、競合他社よりスピーディに前に進められるとか、いくつかの条件をクリアさせなければなりません。

 

<吉岡>

国内では、“10倍の価値(製品の差別化とかコストパフォーマンス)がないと製品とか新しいテクノロジーはなかなか市場で受け入れられない”と云われてきました。確かに、今まで海外の面白そうな尖ったテクノロジーのベンチャー製品を発掘して日本市場に投入しましたが、失敗談とか成功談は色々ありましたよ(笑)。

 

その中で、時期尚早とか市場でのポテンシャルが見えないといった様々な理由で市場での立上げに苦労した経験もあります。

 

顧客の担当者が優れたコストパフォーマンス等、その価値をよく理解しているようなので、いざ顧客へ提案すると、”興味はある“とか、”検討したい“といった表面的な社交辞令で、最終的な導入ステージになると、消極的になったりして、予算がない等、タイムリーに購入してくれない(冷笑)。又、海外市場では売れても、国内ではなかなか売れないというケースも多い。

 

既存製品の10倍の価値がないと競合には勝てない“という考え方を持っている市場関係者も多々いますが、必ずしもそうとは限りません。

 

ジェフリー・ムーアの著書「Beyond Chasm(キャズムを超えて)」を読まれた方も多いと思いますが、9倍とか10倍の価値がなくてもその時々で顧客が悩む課題解決が出来、かつアーリアダプターが素早く評価し、更にその勢いでクラスターを増殖させ、アーリマジョリティの市場カーブの頂点を確立した成功事例も多々あります。

 

勿論、外圧というか政府関係機関(総務省や経産省等)のガイドラインとか、マスメディアのトレンド啓蒙の煽りも無視は出来ないけど。こうした製品やテクノロジーの市場投入は”キャズム理論“の曲線に沿ってキーとなるリファレンス顧客とか、ユーザ事例を増やして市場を創り出すことが必要です。

 

第二節:ペインーソルーションーベネフィット(Pain – Solution – Benefit)

<吉岡>

よくマーケティング理論で、製品とかサービスのバリュープロポジション(Value Proposition;価値提案)という用語が使われます。

この背景にあるのが、顧客セグメントでのPain(課題、リスク)とBenefit(メリット、恩恵)です。よくマーケティング戦略の策定では、ターゲット顧客のセグメントを絞り、顧客毎の事業内容を分析し、ビジネスを達成するための課題(障害)、リスクを明確にします。そして、ターゲット顧客が期待するメリットと恩恵について具体的なブループリントを展開します。

 

<坂本>

このペインーソルーションーベネフィットの言葉はアメリカでビジネスをしているときにIBMから習ったものです。その当時のIBMアメリカ(IBM本社)の事業部長曰く、ペインーソルーションーベネフィットが書いてない製品プレゼンテーションは聞きたくない。

 

製品でも、サービスでも、お客のどんなペイン(痛み)をどのように解決(ソルーション)するか、そしてペインをなくすのみならず、その他にどんな恩恵をお客様に与えることができるか、常に明確でなければならないと言われています。

 

ペインは致命的なペインなら売り易い。我慢できるペインならセールスのコストが高く

なります。したがってその製品で致命的なペイン(Fatal Pain)があるマーケット・セグメントを見つけ出すことがビジネス成功の基本になります。そこにフォーカスして、ビジネスを立ち上げることが最も早道です。

 

最近流行りのナイキの厚底シューズはマラソン選手にとって、それを履いていなければフェイタル・ペインになるようです。そればかりでなく、カッコいいことも追及しているし、履いていないマラソン選手へのプレッシャーにもなるようです。プレッシャーがあるとリラックスが出来なく、本来の力を発揮できないとのことですね。

マラソンで優勝する選手が履いているシューズを素人のマラソン愛好家でさえ履きたくなる。カッコ良いからです。世界中のものすごい大きなマーケットを手にすることが出来ますね。

 

ヘア・カットの場合、髪が伸びたからヘア・カットに行くばかりでなく、カッコよく、もしくは素敵になりたいからヘア・カットに行く時代になってきています。デートの前の日とか、重要なプレゼンテーションの前日にヘア・ドレッサーに行くヘアカット文化です。日本のヘア・カット屋さんやヘア・ドレッサー屋さんはまだまだペイン・ソルーションしか考えていない店が多いようなので、まだまだ大きくなるマーケットでしょうね。後から出てきますが、ヘアカットはトータル・コーディネーションのようです。アメリカでは、お客様それぞれの個性(身長、体系、人種など)に合わせて、その人に合うようなヘアカットをしてくれる店が一般的で、日本の千円床屋さんのような店でも同様らしいと聞きます。

 

別の話題です。アメリカでビジネスをしていると、あなたの製品のアンビュランス・チェエサー(救急車の追いかけビジネス)は何かと聞かれることがあります。この経営者はビジネスを知っているかどうかの質問でもあります。

 

弁護士が救急車(アンビュランス:ambulance)を病院の前で待っていて、救急車で運ばれてきた人の家族に接近して、どうしたのと聞く。もし、交通事故などならば、交通事故を起こした相手を訴え、お金儲を取ろうという弁護士です。

そのような弁護士は病院近くのコーヒーショップや裁判所近くのコーヒーショップに入り浸って、家族の話に聞き耳を立てて聞いているようです(小説にはよく出てきます)。
聞き耳で家族のペインがわかると、その家族に近寄って同情して、裁判を起こして、相手から損害賠償を取るべきだと話を持ち掛けるようです。

 

このやり方が良いとか、悪いとか言っているのではありません。このようなことがアメリカでは実際に行われていて、一般常識のある人たちには極端すぎて変な行為と思われています。

アメリカの悪い面でもある。日本よりアメリカの方が弁護士数が圧倒的に多い理由の一つです。これが言葉“アンビュランス・チェエサー”の出どころです。

 

これと同じと言ってはチョットおかしいが、あなたの製品のアンビュランス・チェイサーは何かという質問の意味です。単にマーケティングの業界用語で、ペインを積極的に見つけて、製品とかサービスを売るんだということです。ペインがあれば、チャンスあり。

 

最後に、あなたはあなたの会社の製品やあなたのサービスでどんなペインを、解消しているのでしょうか? そして、ペイン解消の他にどのようなベネフィット(恩恵)をお客様に与えていますか?

あなた自身は会社のどのようなペインを解消することに寄与していますか? また、アンビュランス・チェエサー的なことを考えていますか?

また、あなたが会社に与えるベネフィット(恩恵)、それは何でしょうか? 明確に知って、毎日を過ごすことをお勧めしたい。会社から与えられて仕事をするのではなく、自分で考えて、新しいアイデアでチャレンジして、ペインの解消とベネフィットを追求した方が仕事が面白いと思います。
試してはいかがでしょうか?

 

<吉岡>

本件に関して、具体的な例を、フュージョンメールマガジンの記事で分かりやすい説明があったので、その具体的な例を参照してみました。

 

「ダイエットサプリを販売しているお店なら、ターゲット(見込み顧客)は“体重を落としたい”と思っている人である。しかしここで“顧客への価値提案”を“痩せること”とするだけでは不十分である。ターゲットはやせて何を達成したいというソリューションにまで踏み込む必要がある。美容目的でダイエットする場合でも、“痩せてきれいになったと云われたい”サイズに縛られず、好きな服を選びたい”など達成したいことは多種多様様々だと思われる。」

 

更に、「顧客への価値提案を考える場合、売り手の都合ではなく顧客の視点から考える。

以下3つの視点からアプローチしてみる。

・機能的な価値:具体的な行動や状況として表現できる側面。

⇒上記ダイエットの例では“痩せること”が当たり前である。

・社会的な価値:周りからの評価やステータスとして表現できる側面。

⇒上記の例では「きれいと云われること」などがこれにあたる。

・感情的な価値:ターゲット個人の感情や気分として表現できる側面。

⇒上記の例ならば「自信を持つこと」などが感情的な価値と云える。」

つまり、ベネフィットは目的を達成するためのソルーション(解決方法)に基づくメリット、得られる恩恵のことになります。

 

上記例のようなダイエットサプリであれば、必要不可欠なペインとして減量できること、望ましいベネフィットとして食事制限や運動をしなくてよいこと、予想外のベネフィットとして、自信を持てて社交的になることなどが挙げられます。

そして、ペインには目的達成を阻害する障害、ソリューションの気に入らない点、達成した後のリスクが含まれます。

 

第三節:ストーリーを売る

<吉岡>

“ストーリーを売る”というのはよくマーケティング戦略で用いるストーリーブランディング手法ですね。

アメリカのビジネスマンはプレゼンテーションが実にうまい。そして、売れる仕組みを作るのがズバ抜けている。

 

日本人とイギリス人はその点、劣っている(最近は違うかもしれません)。ただ、最近、企業ではこのプレゼンテーションの重要性が高まってきています。この能力は、一般のコンシューマ分野でも必要ですね。3月からのコロナウィルスの影響で顧客とのビデオ会議とかWebinar開催が多くなってきた。プレゼンテーションの重要性は更に大きくなってい。

 

<坂本>
信楽焼きの壺をビジネスとする場合を例にして考えてみましょう。信楽の里で買った壺を自宅に持ってきて、部屋に飾っても、里で観たような癒しや感動がないと思います。
部屋全体をその壺に合うようにすることで、自宅でも癒しや感動があり、仕事から帰宅して、安心とリラックスが得られるようになる。それには壺だけを販売するのではなく、部屋全体のインテリアまでのコーディネーションまでを見せて、壺を販売する。
 

チョット待ってください。それはアメリカ人や西洋人の感覚かも知れません。アメリカ人女性の場合、洋服を買うと、それに合わせて靴やその他の着用品も購入するケースが多いようです。そのために一般的な収入の人がルイビトン・バッグを持つことはありません。ルイビトン・バッグを持つ時には、頭のてっぺんから靴に至るまで、ルイビトンに合った着用品を身に着けるのが白人の女性です。
したがって、ストリーで売ると言うのはアメリカやヨーロッパに販売するときかも知れません。日本や中国、アジア諸国に通じるかどうかは不明です。

ここではアメリカの話にしましょう。
いわゆる、点を売るのではなく、ストーリーを売るビジネスが重要です。購買者はそのストーリーまでを見て、自分のコーディネーションに合った製品を買う民族です。

自分自身を売り込む場合でも同じです。どういうストーリーの中で自分という点がどのように生きてくるのかを考え、絵に描いて説明できると、自分の価値が更に増してくると考えます。

日本人はストーリーで売るのではなく、点をトコトン追及している気がします。私が間違っているかも知れません。これも江戸時代の名残文化だと思っています。ストーリーの中で生まれた遠い先祖の製品をわき目も振らずに改良・改善してきたからと考えられます。したがって、それは世界で誰にも負けない素晴らしい製品になっている。

世界の人たちに理解してもらい、魅力として感じてもらえないと価値に見合う金額で買ってはもらえないのみならず、大きなマーケットを開拓できないと考えます。
日本の従来からの匠製品や老舗製品など世界に展開できるものが多いことは言うまでもありません。それこそが日本が世界に誇れる商品だし、世界を変えるイノベーション製品でと考えています。これらの素晴らしい製品のカッコいいストーリーを創り出せれば、世界に展開でき、その会社はあっという間に大きく成長できると思います。

また、スターバックスのケースになりますが、ビジネスを開始したときにイタリアンの濃い味と香りをアメリカに持ち込んだわけです。しかしながら、それだけでは成功しないので、店構え、コーヒーカップ、店で仕事が出来るテーブルと電源コンセントやUSB電源、スターバックス・カラー(色)などなど、従来にないトータル・コーデネーションで販売を開始しました。その結果が現在の状況です。

観察してみると、アメリカ系のチェーン店、マクドナルド、KFCなど、どこもそのような売り出し方をしてきています。。

<吉岡>
IT製品の場合、製品の仕様、特徴、技術的なメリットを詳しく記述するのは我々、日本人は得意で長々と書き出します。作成者は自己満足の域に達します。それだけでは日本のバブルからの復活は出来ない。

勿論、最近の大学生は授業カリキュラムでディベートとかPBL(Problem based learning)で思考力とかプレゼンテーション能力を高めたり、相手を説得する訓練をしているようですね。要するに、なんでもそうですが、相手を自分のサイドに引き入れることが重要です。

製品のプレゼンテーションではまずはその製品を取り巻く市場環境はどうなのか、その市場での課題は何なのか、海外と国内の事情との違いはとか、そしてROI(Return On Investment:投資効果)とかを売りたい製品を出す前に第三者の市場調査情報で、”FACT”(事実、現状)を分かり易く説明することが大切です。

ストーリーとはシナリオですね。顧客のエピソードやストーリーを引き出して、悩みは皆同じなんだとか、深層心理によって、顧客の意識とか行動を変えていくシナリオ(ストーリー)を作ることが大事だと思います。

勿論、その中で自分を売り込むことも忘れてはいけません。

第四節:数千億円市場か? (Billion Dollar Market)
<吉岡>
“数千億円市場か?”というテーマは日本国内だけで考えると気の遠くなる市場規模です。

アメリカのベンチャー(スタートアップ企業)は世界を相手に市場戦略の建付けを考えるが、我々国内の若い世代はそこまで考えていないようだ。
ただ、断定してはいけない。トヨタの豊田佐吉氏、ソニーの盛田昭夫氏、松下電器(現在のパナソニック)の松下幸之助氏といった世界企業となった先人の書物を読破しながら、少なからずその域に達しようとする起業家もいる。

最初のテーマでも触れましたが、日本のベンチャーが世界の巨大企業に成長しない要因の1つが、VC(ベンチャー・キャピタリスト)だと思っている。確かに国内にも証券系列、情報通信系等々、日本ベンチャーキャピタル協会の会員数で見ると、その数は140数社に増大している。米国、ヨーロッパ、中国のスタートアップ企業にファンドで投資している国内VCも増えてきている。残念なことに特定のリードインベスター(セコイア・キャピタルとか)にコバンザメで乗っているだけのケースが多いと見受ける。

筆者はそこまでのVC分析はBeyond Marketing(ビヤンドxxxとは良く使う言葉で、この場合は自分の領域外と解釈してほしい)なので、ここは経験豊富な坂本さんに任せますね。

<坂本>
ビリオン・ダラー・マーケットを狙うこと。これはシリコンバレーのVC(ベンチャー・キャピタリスト)から投資をしてもらう必要不可欠条件です。VCから投資をしてもらい、全世界に新規開発した製品を販売するのであれば、そのマーケットが数年後には1千億円を超える予測が必要です。全世界トータルです。全世界のマーケットをどのように制覇するか、緻密かつ大胆なマーケティングならびにセールス・プランを創り出さねばなりません。

新しいマーケットなので、市場予測は自分で作り出します。
私はデータベース・セキュリティ製品の会社を創業して、約30億円をエンジェルやVCから投資をしてもらいました。その際に、私自身が行った市場予測を記述します。シリコンバレーの調査会社ガートナー・グループの図書室を使わしてもらい、データベース市場を調べました。データベースの種類はオラクル、IBM, マイクロソフト、オープン・ソフトのMySQL、インフォミックスなど。

 

(1)    まずはオラクルとIBMのデータベースにフォーカスした。どの国にどれだけのデータベースが売られているかを調査した。その5年間を足し算した。少なく見積もって、その数のデータベースはターゲット・マーケットになる。
(2)    アメリカと日本のマーケットを初年度のターゲット・マーケットと考えたので、この二つの国で稼働しているオラクルとIBMのデータベースの数を割り出した。
(3)    その0.1%のマーケットをまず狙う。そして3%の確率で売れたら、何台(正確にはインスタンス数)のデータベースになるか? もちろん、その0.1%のマーケット・セグメントも決める必要がある。地域はニューヨークと東京、業界は金融業(銀行・証券・保険)、企業規模はトップ20と決めた。
(4)    セールス・サイクルは6か月、私の会社の製品価格は平均で300万円と仮定した。そして、初年度のマーケット・サイズと売上予測を出した。
(5)    また、これを実現するために、どのようなマーケティングをして、何人のセールスマンが必要かも割り出して、予算を作った。
(6)    2年度からは、狙うマーケットを0.1%から0.5%にした。

このように調査・計算して、5年後にマーケット・サイズが1千億円を超える市場かどうか? 
これが投資家に見せられないと、投資をしてもらうことはシリコンバレーでは難しい。
このようにして、1千億円市場かどうかを自分で調査し、計算して、ビジネス・プランに織り込みます。
 

第五節:20人が同じようなアイデア
<吉岡>
“20人が同じようなアイデア”というテーマは時代の流れを感じますね。あらゆる革新的なアイデアは、情報化社会ではインターネットを介して瞬く間に世界中に流れ、同じようなコンセプトはあっという間に共有化され、類似のアイデアで製品が開発されてしまいます(ちょっと極端すぎるかも)。特許申請しても、その特許に抵触しないような仕様を作り出すのは難しくありません(笑)。

<坂本>
吉岡さんの言う通りで、特許では競争相手が出て来ることは止められません。たとえ、特許に抵触していても、特許係争中にマーケットを席巻した方が勝ちます。特許係争の判決が出るのは10年後で、その頃には新しいマーケットになっています。特許が重要でないと言っているわけではなく、特許で競争相手の製品開発を止めることは出来ないと考えてほしい。世界は日本人のようなジェントルマンではなく、生き馬の目を抜くことのみ考えているビジネスマンが五万といると思ってほしい。

自分のクリエートした製品やビジネス・アイデアは、自分以外に世界では少なくても20人が考え、その人たちも開発やビジネスに向かって猛スピードで走っている。このような想定が必要です。

これを実感したのはNECを退職してホロンテック株式会社をシリコンバレーで創業して、新製品ハイパーフロー・ロードバランサ―をインターロップ・エキスポ(インターネット製品の展示会)に出展した時です。
その時のインターロップはラスベガスで開催されました。その時点で会社には現金が5億円くらいあったので結構大きなブース(展示場のスペース)、12畳間(9x36スクエア・フィート)くらいを確保し、私も含めて6人の社員がラスベガスに出張しました。その時にハイパーフロー製品はインターロップ賞を貰ったので斬新であったと言えます。いまから振り返っても世界初のロード・バランサーでありました。

展示場のサイズは東京のビッグサイトとか、幕張メッセくらいです。展示会が二日目に入ったときに、社員の一人が“アキオ! 同じような製品を二社ほど展示しているよ! その二社ともシリコンバレーの会社だ。どこでホロンテック社のハイパーフロー製品開発が漏れたのだろうか?”

どこかで新製品の開発が漏れたことは間違いありません。でも、そんなことを言っていても何のプラスにもならないし、時間とリソースの無駄です。それよりも会社の全能力を開発・マーケティング・販売に集中させて、マーケットを席巻することが最重要です。
開発も、マーケティングもセールスも他社に負けないスピードで走ることです。

開発した製品を市場に出してみると、お客様の使い方にあっていない部分があったり、お客様が使いたいところの機能が不足していることがわかります。どんな新製品だって同じで、はじめからお客様が満足して使える製品ではありません。従来の改良改善の製品ではなく、今までになかった世の中がアット驚く新製品の話です。

いわゆる、新製品をプランして、開発・製造して、お客様に使ってもらって、不満を聞いて、製品開発にフィードバックさせるループです。

次に創業したアイピーロックス株式会社でも同様なことが起きました。私が考案して、開発したデータベース・セキュリティ製品をサンフランシスコのマスコーン・センター展示会で展示して6か月もしないうちに同じような製品がアメリカで2社から発表されました。

これらの経験から言えることは、同じような製品アイデアを考え付くには、そのニーズ(市場要求)が芽を出してきて、新製品アイデアが出てくるからです。同じシリコンバレー地域だけでさえ、2社ほど展示するのだから、世界中では20人が同じような製品アイデアを持って、会社を創業するか、新製品の開発に着手していると考えるのが世界の状況です。
ただし、アイデアを考案しても、会社創業の資金が集まらなかったり、会社の経営層に新製品開発の承認が取れなかったりで、前に進めない人たちも沢山います。

要はあなた一社だけが考案した新製品ではなく、競合他社が必ず数社いるので、センス・オブ・アージェンシー(sense-of-urgency:急げ、急げの意識)を持って、新製品を開発して、その新製品を市場に紹介して、販売する、そしてお客様の不満をフィードバック・ループに入れて、進むことが非常に重要です。

以上、IT分野で働く人たちには理解できる説明ですが、その他の業界の人たちには分かり難い説明になってしまいました。

今、コロナウィルスに対抗するために、いろんな分野で新製品が考案・開発されていると容易に推察できる。例えば、コロナウィルスのサイズまで洗浄する空気洗浄機です。空気洗浄機にコロナウィルスを吸い取り、フィルター(濾過器)することが出来れば、従来の空位洗浄機の構造で良いので、その二つに絞って、空気洗浄機メーカーは必死に新規考案・開発していると思われます。この時に20人・20社が同じように開発しているという意識が非常に重要です。

私たちのIT分野ではテレワークで、自宅勤務の人たちがビデオ会議を使って、会議やセールスをしています。したがって、ビデオ会議の通信が従来よりも何十倍、何百倍に多くなり、いろんなところで問題を起こしています。問題は、宝みたいのものです。問題が解れば、それを解決する新製品のアイデアが出てきます。その時にも20人が同じようにその問題解決の新製品を開発していると考え、前に進めることです。

<吉岡>
今までに、米国の先端技術情報は不正な手口で中国に漏洩され、類似製品が開発されたケースも少なくありません。坂本さんは色々な製品をしかも市場にはないような尖った製品開発に従事されたので、色々と苦労されたと思います。

 

第六節:レベレージング(Leveraging)
<吉岡>
このレベリージングとは子供が遊ぶギッコンバッタンのシーソーのテコの作用をうまく利用して小さなリソースで最大の効果を上げるといった、これもマーケティング戦略でよく使われます。“レバレッジがうまく働く”と云った感じですね。
例えば、特定の営業マンが自分の限られたテリトリーの顧客に販売促進するのではなく、市場全体をカバレッジするために色々な代理店とかパートナーを活用して効果的にかつ短期間で拡販するというマーケティング戦略で使いますね。

<坂本>
利用できる梃子は何か、出来るだけ多くのレベレージを探し出して、活用せよということです。
全てを自分・自社だけでやろうとするな! 如何に自分や自社のすることを少なくして、他人や他社を活用し、スピードを速めよう!、パワーを大きくしよう!。
活用したら、活用に値するリターンを提供すること。無償は禁止。もちろん、お互いに売れたら、価値に応じた利益の分配で良い。魅力ある商品(物とかサービスとか)ならば、セールス・コミッション方式で良い。

要は競争に勝てるもの、お客様に満足を与えられるもの、新しい世の中を創り出すものなどを、誰よりも早く、出来得る最大限のパワーを創り出す方法を考えましょう。スピードとパワーが勝です。製品でも、マーケティングでも、セールスでも、経理でも、人事でもなんでも、鵜の目鷹の目でレベレージを常時探して、利用できるものは自社・自分では作らず・やらずに利用しよう! これが情報化社会の経営です。利用できるものを探す調査時間を毎日、何時間か振り向けても、その費用対効果はあります。

自分のコア・コンピテンシーを発揮出来ることのみに専念できる仕組みを考え、後はレベレージングを活用することです。

ソフトウェア開発の世界では、自分で開発する部分は6%くらいにもなっているとのデータです。その他はオープン・ソースという誰かが作ったソフトウェアを活用する時代になっています。どれだけオープン・ソースを知っているかは、調査時間の長さに依ります。少なくても、毎日一時間くらいは、どのようなオープン・ソースがあるかの調査時間を割り当てるべきと考えられます。

勿論、自分・自社で作る部分はユニークで、魅力あるものでなければなりません。

例えば、新しい製品やサービスを考え付いたとしよう。これを如何にマーケティングして、市場の人たちに理解してもらうかです。自分のネットワーク(人脈)で、魅力的なホーム・ページ(Webサイト)を作ってくれる人がいるか、その人にどのようなリターン(報酬)を上げられるか、さらにはサーチ・エンジン・オプティマイゼーション(SEO)までやってくれるか? SEOとはグーグルなどの検索で、検索すると1ページ目に出てくるようホームページを日々改善することを言います。

マーケティングさえ成功すれば、物にも依るが、セールスは楽天とかアマゾンを使えば、世界中に物が売れる時代です。セールスで一番注意しておかなければならないことは売ったが、お金がもらえず、トンずらされることです。売上金を回収することをクレジット・コレクションという。楽天とかアマゾンを使えば、クレジット・コレクションの心配はなくなります。
これらがレベレージングの例です。

自分の勤務する会社に新しい製品やサービスを提案する場合でも同じです。レベレージングを徹底的に考え、プランし、実行計画(ビジネス・プラン)を作ることです

ここまで読んでもらって分かったと思いますが、私は大したことは言ってはいません。みんながなーんだ! 知っているよというようなことばかりを述べていると思っているはずです。 
要は私の言っていること、最後まで読んでいただけますと50~100のビジネス・ルールを記述する予定です。それをチェック・リストにして、常時 眺めて、自分・自社の行動に照らし合わせて、外れていれたり、漏れていたりすれば、軌道修正することです。もちろん、日本文化との合流させて、世界でユニークな経営をすることが世界競争に勝っていける方法です。物まねでは勝てるほど、情報化社会のスピードは遅くはありません。

<吉岡>
別の云い方をすれば、孤軍奮闘ではなく、色々なリソース(媒体も含め)を利用して効果を最大化する色々なシーンでこういった表現を用います。アメリカではこのレベレージ(leverage)という単語はよく使いますね。

第七節:タイム・ツー・マーケット (Time to Market)
<吉岡>
このタイム・ツー・マーケットは1980年代の後半に海外から来た用語ですね。当時、国内では“Japan as #1”とか“Made in Japan”と云われ、日本はモノ作りの経済大国として成長してきた時代でした。
1964年の東京オリンピックでは、日本の製品を世界に売り込む大きなきっかけを作りました。国内では、“タイム・ツー・マーケット”よりも、“ジャストインタイム”のトヨタ 生産方式の方が有名でした。“必要なものを、必要なときに、必要な数だけつくる”という発想から生まれたジャストインタイムは、もともとトヨタをはじめ国内の製造関連企業に広まった生産管理システムです。
最近では製造業界だけでなく、あらゆる分野で効率的な生産戦略方針として取り入れられています。

その後、国内では特にIT業界では外資系の日本法人が数多く設立され、タイム・ツー・マーケットというマーケティング戦略の文化が広がり始めました。

私も米英の海外企業のマーケティングに在籍した時期がありますが、海外企業ではプレゼンテーションを作成する時に、この用語は不可欠でした。坂本さんは、米国でベンチャーを立ち上げ、しかも経営者としての目線でビジネスを立ち上げてこられたので最も重要なビジネス戦略として目指してこられたのではないでしょうか。
    
<坂本>
マーケットが熟してきて、その新製品や新サービスが一気に伸びる可能性のある時期をタイム・ツー・マーケットと呼びます。その時期には多数の競合が出て来ます。その時に日本ではよく、他人・他社より半歩進んでいるのが売り易いと言われています。2歩も3歩の先の製品だとお客様の知識と離れすぎていて、売れないと言われます。先ほど吉岡さんが使ったビヤンド・カスタマー・シンキング(Beyond customer thinking)になりますね。

半歩先というのも難しいところです。いわゆる運です。私の経験では成否は運が相当です。ただし、チャレンジしていなければ運も来ないわけで、常日頃の創意工夫とトライ&エラーのチャレンジが重要です。運は何度もやってきます。ご存知かも知れませんがケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は700回以上のチャレンジの後で、ようやく成功したと聞きます。カフフォルニア・カフェというビュッヘ。スタイルのレストランも10回目で成功したと聞いたことがあります。その間、親戚・知人に借金を重ねたとの話もありました。

カズムという言葉があります。新製品・新市場を作り出すときに、黎明期を過ぎるとカズムが来て、マーケットの需要が一度落ち込む。落ち込んだので、そのマーケットから撤退すると、その後の成長でのチャンスを逃してしまうというストーリーです。クロッシング・ザ・カズムという本です。吉岡さんも話していましたね。

カズムが過ぎる頃に新製品を出すのが一番のタイム・ツー・マーケットかもしれません。私はインターネットの電話通信を1980年に開発し、1981年に商用化した。音声パケット(ボイス・パケット)などとも言います。音声パケット特許も5件取得しました。インターネットで音声パケットが本格的に流行り出したのは2000年くらいだったので、私の製品は20年ほど早かったことになります。

NECを辞めて、創業したホロンテック社が開発したロードバランサーも世界初ではありましたが、爆発的に使われる前にある大会社にM&Aしてしまいました。いわゆるカズム前にある程度の売上があったが、数千億円市場になった現在、そのマーケットを征しているのはホロンテック社より3年後に同様な製品を売り出した会社です。

タイム・ツー・マーケットは非常に難しいですね。計画して、出来るものではありません。

新創造の世界初製品はマーケットを教育するのに資金と時間が必要です。また、顧客が使ってみて、不足機能や合わない部分を改善するリソースや時間も必要になります。お客様やマーケットに新製品の必要性が理解されるまでに時間と説明費用がかなりかかることを理解する必要があります。
マーケットが新製品の必要性や良さを理解してから、そのマーケットに最も適した製品を開発すると爆発的に売れる観測です。

最初に新製品を開発した会社は、資金も人材も息切れがしてしまうケースが多いのがこれまでの実態です。製品自体も最初からそのマーケット・セグメントに適した新製品を開発すればよいですが、それは難しく運が必要です。
投資家もやり直しのために再投資はしてくれません。開発部隊も新しく人材を集めて、第2開発部を作るようなことをしないといけません。
新しい投資家を見つけて、今までの学習効果と第2開発部の有効性とを説得できる仕掛けが必要になります。問題はこれまでの投資家と新しい投資家の両方を納得させられるキャピタリゼーション・プランが必要になります。これは難しい。

そのために投資家は同じ製品分野で新しく創業した会社に投資をすることになります。これ以上の説明は専門的になるので、この書き物では追求しない予定です。しかしながら、CEOやCFOにとって、キャピタリゼーション・プランは非常に重要で、知恵と経験が必要です。

タイム・ツー・マーケットから大分ずれてしまいました。

<吉岡>
当時、数年の間、英国本社のITベンダーでプロダクトマーケティングのマネジャーとして勤務していました。英国はもとより、欧米、アジアそして日本にも販売網を持っていました。新製品がリリースされる前には開発部門長、営業部門長をはじめ、プロダクト関係メンバーと市場性に関して喧々諤々(けんけんがくがく)、全員の合意に達するまで多くの時間を費やしました。

そこで毎回、メインの議題の1つがこの“タイム・ツー・マーケット”でした。いくら良い製品を開発しても市場ニーズ、顧客が欲している商材をタイムリーに市場提供しなければ競合には勝てない。これは、何もIT業界に限りません。全てのビジネスにおいてこのキーワードは最も大切な経営方針です。

第八節:単機能・高品質
<吉岡>
“単機能・高品質”に関して、ハードウエア的には単機能の方がシンプルで、壊れにくい、操作が簡単で多機能製品よりも廉価である。しかし新たな機能が必要なったら使えない。多機能製品は色々な便利な機能がオールインワンで搭載されているので、便利。

ただ、多機能だと操作が複雑で、面倒である。しかも単機能に比べて高額である。こういった比較論の話を良く耳にする。これは、前節のタイム・ツー・マーケットの理念からすれば、開発工数とシンプルなアーキテクチャは、短期間で市場投入が出来、メンテナンス性がよくしかも無駄な機能とか無駄なパーツがないのでコストを抑えられるというメリットがある。

ただ、これは業界によって意見は様々です。必要な機能だけに特化した製品を希望するニーズと、1台でオールインワン的な多機能を好む顧客層も無視できない。高品質はいずれの場合でも共通した必須条件です。製品を提供する側は最も気を使うところ。

IT製品で云うと、特に海外ハードウエア製品を導入する場合、海外ベンダーから顧客のオンサイトに直送するのは危険である。輸送中に壊れたりする場合がたまに起こる。そのため、顧客にデリバリーする前に、IT販売会社は品質検査と稼働チェックを行う。国内メーカーとか販売代理店の技術者が十分な作業に時間を使うところです。顧客に出荷・据付後にトラブルが発生すると作業コストが掛かるばかりか、顧客への信頼にも影響する。


<坂本>
特に新製品は単機能が良い。この書き物の中で使う新製品の言葉の定義ですが、今まで世の中になかった製品を新製品と呼ぶことにしています。改良改善製品のことではありません。

要はその単機能を欲しがっているマーケット・セグメントをプリ・セールス(本格販売の前のテスト・セールスです)で見つけ出すことが重要です。そのマーケット・セグメントで高品質で動けば、お客様に気に入られるはずです。単機能なら短期間で高品質製品に仕上げられます。かつ安価で売り出せます。変更も簡単です。

新製品をはじめから多機能・高品質で実現することは夢のような話なのであきらめた方が良いと考えられます。そのような製品を高品質で開発・製造するには長期間を要します。これが命取りになります。新製品が高品質で動くまでに、そのマーケット・セグメントは、世界のどこかの会社に席巻されてしまうと考えられるからです。当然、開発資金も膨らみます。その開発資金の一部をテスト・マーケティングに使った方がはるかに効率的と考えられます。
それを今でも日本の会社はプランし、実行している。日本の投資家もそういうスタートアップ会社に投資をするからあきれています。情報化社会は全世界の競争なのです。スピードが成功のために非常に重要な要因です。いち早く、売れるマーケット・セグメントを探し出すことです。

我が家にある古い洗濯機を見てみましょう。水道水か風呂水か、それを洗いに使うかすすぎに使うか、水位の選択種類は4レベル、洗いの時間の選択レベルは3段階、その他すすぎ、脱水、風乾燥、予約、コースがあり、それぞれの選択が3~5種類もある。驚きです。
私が洗濯するときには、電源スイッチを入れて、洗剤を入れるだけです。いろんな機能の選択はしない。セットされた標準機能さえあれば、十分にきれいな洗濯ができます。
アメリカの一般家庭で使っている洗濯機は時間を設定するくらいで、その他の機能はありません。日本の常識は世界の常識でないことと考えて、テスト・マーケティングを行うことをお勧めします。

結果は言うまでもなく、世界の家電製品マーケットは韓国メーカーに席巻されてしまいました。30年前は世界の大都市に行けば、日本の家電メーカーの看板が街角のあちこちにありました。それがパリでも、ニューヨークでも、どこでも韓国の家電メーカーの看板に置き換えられているのにはがっかりです。韓国メーカーはマーケットを理解し、単機能・低価格にフォーカスしたためと考えられます。マーケットを席巻した後では、いろんな戦略が可能になります。ブランド力です。

日本のIT製造メーカーが開発・製造するIT機器やITソフトウェアも同様でした。私はNECで長らくIT製品の開発をしていたので、良く知っています。いろんな機能を開発技術者の想像で入れるから、開発期間が長くなる。出来上がった製品はアメリカの製品より何倍も大きくなる。価格は3倍から10倍、性能は3分の1から10分の1になる。開発期間が長いことは開発費も何倍にもなる。結果は今の状況です。日本のIT製造メーカーで世界で勝負できる会社は1社もなくなってしまいました。

どうして、あれも出来る、これも出来るという製品を開発するのか? その一つの理由は三波春夫の“お客様は神様です”という考えで、お客様が欲しい機能をすべて取り入れる。経営陣はどんなマーケット・セグメントも捨てないで、自社のものにしようと経営する。“捨てる経営”など全くしない。

マーケットをセグメント化せずに、多機能・高品質であれば売れると思っている。マーケット・セグメンテーションなどとの考えはまるでない。マーケットを知らないのでフォーカスのしようがない。ビジネスでのフォーカスなどの言葉も知らないと思われるくらいです。

二つ目の理由は 開発者が“井の中の蛙”で、わき目も振らず、朝から夜遅くまで、開発部の席から一歩も出ずに、開発に専念しているからです。開発者がマーケットや世界を見ないで、売れる製品など開発は出来ません。

日本の経営者たちは、マーケティングになど資金を投入しない。せいぜい、日本か世界で有名なマーケット調査のレポートを購入するか、調査依頼をして、そのレポートを購入するくらいです。そのためにToo-late(ツーレイト:遅すぎた情報)で、物真似情報しか入ってきません。

自社の開発者がマーケット調査をしなければ、血となり、肉となるマーケット調査など出来るはずはありません。新製品のアイデアも製品仕様もすべて製品開発者から出て来るものです。

日本のIT製造メーカーの社員は競合がひしめくシリコンバレーには行っています。そこで、すでに開発が完了した製品を学んで来て、知ったかぶりで話をしています。企業は学校ではないです。今や日本の大会社の全社員は製造メーカーの認識がまるでないと考えられます。

製造メーカーならシリコンバレーではなく、世界中のマーケットに行き、お客様(リセラーやエンドユーザー)とトコトン話をしてくることです。これは開発者の最も重要な仕事です。シリコンバレーはマーケットではありません。新製品開発の地です。ここに行っても後追いの情報しか入手できません。

新しいビジネスは人脈のあるマーケット・セグメントで、投資額が少なく、少人数で、短期間に開発・製造できる製品から始めることをお勧めします。大会社であっても、新規製品に はじめから大きな投資はしなし、大会社であっても人材の確保も出来ません。
スタートアップ会社ならなおさらです。投資金、人材の確保、リスク、スピードなどの観点から単機能・高性能でマーケットの席捲をプランすることが非常に大事です。

<吉岡>
坂本さんの話もそうですが、1990年代くらいまでは、国産のサーバとかパソコンメーカーは色々ありましたが、その後はまったくプレゼンスがなくなりました。某メーカーの技術責任者に聞くと、モノつくりとか製品開発を希望してメーカーに入社したが、もう自社製品は中止にして海外メーカーの製品を再販していることに失望して、辞める若者が増えているとの事。

国産のハードウエアメーカーは、信頼性に厳しく、高品質な製品を市場に提供するために、
高負荷試験とか、温度とか電圧の耐久性のバーンイン(burn-in)テストで出荷前の初期故障を防ぐといった高品質のレベルを世界に誇っていましたが……
勿論、他の分野でのモノつくり業界(製造等々)では世界トップレベルの高品質を誇っている。ドイツも高品質で日本としのぎを削っているのは自明のことですが。
繰り返しになりますが、単機能か多機能かは色々なインダストリーによって是々非々ということにしましょう。

日米差 ――― 言葉や結婚式
    スマホ、スタバ、もっと驚いた言葉はコスパだ。アメリカではスマートフォーン、スターバックス、コスト・パフォーマンスとフル・ネームで言う。日本の短縮形は日本だけに通じる日本語だ。私はこの日本語にまだ慣れない。
日本        アメリカ
スーパー    スーパー・マーケット
コンビニ     コンビニエンス・ストア
プレゼン     プレゼンテーション
テレコン     テレ・コンファレンス
バンカメ    バンク・オブ・アメリカ
メイン・フレ    メイン・フレーム
ゼミ        セミナー / ゼミナー
コスプレ    ????
エンタメ    エンターテインメント
コロナ        コロナウィルス
スマホ        スマート・フォーン
スタバ        スターバックス
バイク        モーターバイク  (バイクは自転車を意味する)
スケボー    スケートボード
ウィンカー    ターン・シグナル (アメリカ駐在が始まったばかりに秘書に
ウィンカーと言っても通じぜ!、日本語英語と分かった) 


その他にも沢山あるのだろうが、私は知らない。当然だが、日本語なのでアメリカに行って、その言葉を使っても通じない。その逆もしかりで、日本で上記のフルネームで言うと変に思われているようです。最近、ある大学生から注意されて、初めて分かった次第です。

このほか、いろんな日本語単語が過去30年間で作られたようです。ガチンコ勝負なども、聞いてまるで分りませんでした。

 

この写真はカリフォルニア州ソルバング市の西部劇時代の街を再現した場所での結婚式

  この写真はカリフォルニア州アプトス市の海辺での結婚式

  この他、ゴルフ場や、スポーツ・ジム、ワイナリー、自宅、街の集会所などで開かれた結婚式にも出席したことがある。結婚式の後のパーティーはケータリングだ。ケータリングは行き付けのレストランに頼むとか、ケータリング・サービス専門の業者に頼む。ワイン、ビール、ソフト・ドリングなどは結婚する親たちが買って、持ってくる。それをケータリング・サービスの人たちが出してくれる。
牧師さんも教会の牧師さんとは限らず、会社の上司に牧師になってもらったりするから、面白い。
引き出物などは勿論ない。余ったワインやビールなどは、出席者に好きに持って行って良いなどと言う。
花嫁はウェディングドレスを新調するが、花婿を含めて男たちはすべて貸衣装で済ませる。

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